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ドラム・スティックの種類と選び方
一口にドラムスティックと言ってもメーカーも価格も様々だし、太さや長さの種類もたくさんあってどれを選べばよいのかわかりません。一体何が違って、その違いによって何が変わるのでしょうか?
ANSWER
ドラム・スティックは、ドラマーにとって最も身近で、演奏性や音色に影響を与える重要なツールです。素材やサイズ、形状、用途などにより種類は様々。本記事では、ドラム・スティックの基本的な種類から、演奏ジャンルごとのオススメまで詳しく解説します。 自分の演奏スタイルに合った1本を見つけましょう。
2025.07.25
ドラム・スティックの種類と選び方
〜ジャンル別に最適な1本を探そう〜
ドラム・スティックは、ドラマーにとって最も身近でありながら、演奏性や音色に大きな影響を与える重要なツールです。見た目は似ていても、素材やサイズ、形状、用途などにより種類は多岐にわたります。自分の演奏スタイルに合ったスティックを選ぶことは上達への近道であり、演奏のクオリティにも直結します。
本記事では、ドラム・スティックの基本的な種類から、演奏ジャンルごとのオススメまで詳しく解説します。
1. 素材の違いによる特徴
ドラム・スティックの素材は、音色や重量、耐久性に大きく関わります。以下のような種類が一般的です。
● ヒッコリー(Hickory)
最も標準的な素材。しなりがよく、適度な重量と衝撃吸収性を兼ね備えており、手首や腕への負担が少ないのが特徴です。ジャンルを問わず幅広く使えるため、初心者にもおすすめです。
● オーク(Oak)
ヒッコリーよりも重く、硬い木材です。そのぶん耐久性も高く、強いアタックが出せます。ラウド系の音楽やパワーのある演奏スタイルに向いています。ただし、手首への負担が大きいため、長時間の演奏には注意が必要です。
● メイプル(Maple)
軽量で柔らかい木材で、スティックのコントロール性に優れています。繊細な表現が求められるジャズやアコースティック系の演奏に最適です。軽いぶん疲れにくい反面、耐久性はやや劣ります。
● カーボンや合成樹脂
近年注目されている非木製のスティック。非常に高い耐久性と一貫した品質が魅力ですが、音色がやや硬質になるため、好みが分かれます。屋外のライブや激しいツアーなど、タフな環境で使用されること が多いです。
2. チップの形状と音色の違い
スティックの先端部分「チップ」は音のキャラクターに大きく関係します。
チップの材質がナイロン製のものもあり、シンバルでよりはっきりとしたアタック音を出したいときに有効です。ただし、ウッド・チップに比べて若干人工的な響きになるため、好みや用途に応じて選ぶことをお勧めします。
3. スティックのサイズと表記
ドラム・スティックのサイズは厳格に定義されているわけではなく、メーカーによって表記方法も異なります。ある程度経験を積むと、握って軽く振った時に感覚的にしっくりくるものが分かってくるでしょう。
ここでは一般的に使用されることの多い規格をご紹介します。
4. テーパー(先端に向かう細さ)
テーパーとは、グリップ部分からチップまでの絞り具合のことです。テーパーの長さによって、リバウンド(跳ね返り)や感触が変わります。
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長いテーパー:しなやかで跳ね返りが良く、ジャズやコンサート・モデルなど速いパッセージや繊細な演奏に適しています。
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標準的なテーパー:クセがなく、様々なジャンルで安定して演奏ができます。初めての方はこちらのタイプがおすすめです。
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短いテーパー:より硬くパワーのある演奏に向いており、リバウンドが早く強めに跳ね返ることで音量やアタックが出しやすいタイプです。
5. 特殊スティックの活用
特殊な演奏や音量調整が求められる場面では、以下のようなスティックが用いられます。
● ロッズ(Rods)
細い棒を束ねた構造で、音量が抑えられ、優しい響きになります。カフェ・ライブやアンプラグド編成に最適です。
● ブラシ(Brush)
金属やナイロンの毛でできており、ジャズなどで使用されることが多いです。スウィープ音や柔らかいアタックを表現できます。
● マレット(Mallet)
先端がフェルトでできたスティックで、シンバル・ロールやオーケストラ的な演出に使用されます。
6. ジャンル別・おすすめスティック選び
演奏する音楽のジャンルにより、求められる音色や打感は大きく異なります。以下に一般的なジャンル別のおすすめを紹介します。
ジャズ
- サイズ:7A〜5A(軽量、繊細なタッチ)
- 素材:メイプルまたは軽めのヒッコリー
- チップ:ラウンド型で粒立ちのよいライド・サウンドを強調
- その他:ブラシやマレットも併用
ポップス
- サイズ:5A(標準的でバランス良好)
- 素材:ヒッコリー
- チップ:ティアドロップやアコーン
- その他:ライブ/レコーディング両方に対応できる万能型が◎
ロック
- サイズ:5B〜2B(しっかりした打感)
- 素材:ヒッコリーやオーク(耐久性重視)
- チップ:アコーン型で広がりあるサウンド
- その他:滑り止め加工付きモデルもおすすめ
メタル/ハードロック
- サイズ:2B以上(パワー重視)
- 素材:オーク、またはカーボン製で耐久性を確保
- チップ:バレル型、ナイロン・チップで明瞭なアタック
- その他:握りやすい太グリップが有効
アコースティック・アンプラグド
- 使用ツール:ロッズや軽量スティック
- 特徴:音量調整がしやすく、繊細なニュアンスを活かせる
7. 電子ドラムを演奏する時の注意点
専用スティックまたは適切なモデルを選ぶ
- 電子ドラムはパッドがラバー(ゴム)やメッシュでできているため、アコースティック・ドラムに比べてパッドへのダメージやスティックの消耗具合が異なります。
- 特にハードチップ(先端が硬いもの)や、重すぎるスティックはパッドを痛める原因になりかねないので、標準的な5Aや7Aなど軽めのスティックが推奨されます。
- ナイロン・チップはラバー・パッドに対して滑りやすかったり、摩耗してパッドに傷をつけやすくなったりすることがあるためウッドチップ(木製の先端)がオススメです。
アコースティック・ドラム用と電子ドラム用でスティックを分ける
- アコースティック・ドラムを演奏するとスティックがささくれたり、欠けたりしていきます。そのスティックで電子ドラムを演奏すると、パッドを傷つける原因になります。
- 電子ドラム用のスティックでも、欠けたまま使うとメッシュ・ヘッドやラバー・パッドを破ってしまうことがあります。こまめにスティックの状態をチェックして、問題がある場合は早めに交換しましょう。
まとめ
ドラム・スティックは、単なる「棒」ではありません。素材や形状、サイズによって、音色や演奏感は大きく変化します。自分がどんな音楽を演奏したいのか、どんなシーンで使うのかを意識して、最適なスティックを選ぶことがとても大切です。スタンダードなモデルから試してみて、徐々に自分に合ったものを見つけていくのが良いでしょう。同じメーカーの同じモデルでも握った感触や重心が微妙に違うほど繊細なのが、天然素材を使ったスティックの奥深いところでもあります。
また、1種類にこだわるのではなく、ライブ用・練習用・録音用・電子ドラム用/アコースティック・ドラム用など目的に応じて複数本を使い分けるのも、上達の近道になります。スティックはドラマーの「声」とも言える存在。ぜひ、自分だけの1本を探してみてください。